理系商社マンの日常

某商社に勤務する元理系院生が、商社の実態、海外出張、就活や志望動機等について赤裸々に語ります。

商社への志望動機

志望動機…

就活において、誰もが頭を悩ますテーマだと思います。

自分も学部生で就活した時、自分の志望動機の脆弱さに愕然としました。

 

「やりたい事は決まってない!」

「お給料は欲しい!」

「モテたい!」

 

ベースはざっとこんなところでしょうか?

それを基に、年収の高い企業で企業イメージの良いところ、

自分のイメージが良いところを適当に受けていました。

当時の志望動機は、

「御社で注力されている〇〇事業を通じて、世の中に貢献したい」

とかだった気がします。

うーん、今考えても浅い…

 

そして学部生の就活は惨敗し、大学院生になってからの就活は根本から見直しました。

 

・そもそも何がやりたいのか

・何がやりたくないのか

・自分がこれまで、共感した人の考え方は何か

・なぜその志望動機に至るのか

 

色んな本や雑誌を読み漁り、自分がしっくり来る考え方を探し、

一番重要な「なぜその考えに至ったのか」を徹底して考えました。

この辺りの掘り下げが浅いと、企業も絞りきれず、かつ内容の薄い志望動機になります。

 

さて、そんな自分が商社を志望した理由ですが、

「日本の魅力的な技術や製品を海外に広げたい」

というものでした。

これをベースに、様々な想定質問と回答を考えました。

 

Q. 世界に広がるなら、グローバルなメーカー営業で良いのでは?

A. 複数のメーカー営業と話をしたが、早くから海外事業に携われるのは商社だった。

Q. 別に商社じゃなくとも出来るよね?

A. 情報発信は雑誌でもウェブでも出来るが、それを的確な相手にタイムリーに届けたい。

それにより、具体的な製品が出来上がる過程を見たいと思った。

Q. 日本以外の製品を扱うこともあるが?

A. 希望は日本品のグローバルへの拡販だが、最初の数年はノウハウを学ぶ意味でも

様々な製品を扱う気持ちでいる。

 

まだまだ浅いですが、ざっくりこんな感じでした。

 

ちなみに、「日本の魅力を世界に」という志望動機は、

商社に入る人の間では割とありきたりです。

重要なのは、なぜその考えに至ったか、それを論理的に説明出来るか、

という点に尽きると思います。

 

ちなみに、今の日本はほとんどの会社がグローバル志向なので、

上記の志望動機はちょっといじればどこでも使えます。

 

志望動機も大事ですが、なぜその考えに至ったかはじっくり考えてみてください。

海外出張への憧れと現実

早速ですが、皆さんは海外出張と聞くとどのようなイメージがありますか?

過去就活生に同じことを聞いた時、

「かっこよさそう」

「バリバリ仕事してる感じ」

「余裕があれば観光とかして、美味しいもの食べてそう」

という類の回答が多かったです。

 

これらは一部当たっていますが、本当に一部です。。。

自分は、多い時で年間20カ国をまわりました。

今回は、その経験から感じたことや、よく出る質問に回答していきたいと思います。

 

■海外出張の期間

ケースバイケースですが、短くて三日、長くて数週間程度です。

平均して一週間くらいのイメージです。

 

■海外出張の頻度、行先

これこそ担当業務の内容によりますが、自分は海外案件をメインで担当していた時は

月一で海外に行っている感覚でした。

 

■海外出張のメリット

①現地でバリバリ働いている駐在員の話が生で聞ける

これは最大のメリットだと思います。

各国の文化や物価、ビジネスの価値観などをリアルに聞くことが出来

自分が駐在となった時のイメージがわきます。

②海外の文化や価値観に直接触れられる

これも大きなメリットです。

自腹では行かないような国に行き、自腹では食べないようなご飯を食べ、

自分の引き出しを増やすことが出来ます

③海外出張手当が出る

会社にもよりますが、海外出張手当が出るケースがほとんどです。

大体5千円/日程度でしょうか。

ただ、残業代の方が高くつく事が多いので、そこまでメリットではないかもしれませんが…

 

■海外出張のデメリット

①日本での業務が滞る

携帯やパソコンで、世界のどこでも仕事が出来るとはいえ、

やはり日本にいる時より仕事のペースは落ちます。

ましてや長距離フライトの場合、機内では一切メールが見れないため

到着後に一気にメールが届いてげんなりするケースが多いです。

②肉体的負担が大きい

飛行機移動や時差ボケに加え、現地での車移動もしんどいです。

現地では片道2~3時間車に乗って顧客訪問をすることもザラで、

お客さんのところに着いたら既にぐったり、なんてことも…

また、商社はメーカーの方と同行して出張するケースも多いので、

毎晩飲み会となるためそれもきついです。

③通常の1.5倍働くケースもある

日本との時差が中途半端な国に行くと、実働で1.5倍の稼働時間となることもあります。

例えば時差が3時間半のインドに行くと、現地時価の朝6時~9時まで日本の始業に合わせて仕事をし、

そこからインドの顧客を訪問(移動中は携帯で日本の仕事をさばく)、

訪問が終わりインド時間の夕方(日本は既に夜)から飲みに行く、

という労働を強いられるケースも珍しくありません。

 

総括すると、普段は出来ない貴重な経験が積める一方で、

それなりの負荷も発生するというイメージです。

 

個人的には、憧れだけではやってられない、という気がしています。

研究者のタマゴから商社マンの道に進んだ理由

予めお断りしておくと、自分は所謂五大商社ではなく専門商社に勤務している。
勤続年数は約5年(身バレ防止のため大まかに言っています)、
年収は800万程度である(これは事実)。

なぜこんな事を言い出したかというと、
自身の就活の時には、企業選びの軸のメインに年収が入っていて、
このブログをご覧の方もその点には間違いなく興味があると思ったからだ。
また、専門商社と総合商社ではそもそも業務内容が異なるため、
最初にお断りをしておきたかった。

専門商社と総合商社の違いは別途記事にするつもりだが、
前提としてこのブログは専門商社に関する記述が中心であることをご理解頂きたい。

専門商社志望の就活生はそのまま読み進めて頂ければと思うし、
総合商社志望の就活生も、専門商社との違いを知る手助けとして頂ければと思う。

前置きが長くなったが、自分の経歴を振り返ってみたいと思う。
自分は旧帝大の理系に進学し、大学院を修了して専門商社の営業となった。
(思い返してみると、理系で望んで文系就職をした同級生は1割程であった。)

なぜ理系の道に進まなかったのか、それには色々と理由があるが、ざっくり下記の通りだ。

①理系職は給料が低いケースが多かった
②技術職の配属リスクを感じた
③技術の解明より、技術の応用やアプリケーションに興味があった
④自身の強みが営業職の方が生かせると思った

これらを個別に解説していこうと思う。


①理系職は給料が低いケースが多かった
自分の専攻に関連した企業で、高待遇の技術職を見つけることは
残念ながら出来なかった。
実際には福利厚生などでカバーされるのかもしれないが、
それにしても…と思うものが多かった。
(日本は技術職への待遇が悪過ぎると思うが、この話はまたいずれ)

②技術職の配属リスクを感じた
修士一回の頃、某大手化学メーカーの技術職インターンに1ヶ月ほど参加した事がある。
大学院での専攻に関係なく、インターン初日に研究テーマを言い渡され、
そのテーマに1ヶ月取り組むというものだ。
自分が配属された所は非常に空気が良く、皆さん楽しそうにお仕事されていたのが印象的だった。
では、なぜそこに就職しなかったのか?

それは配属リスクを強く感じたからだ。

営業でも当然配属リスクがあるが、技術職は研究テーマを与えられると、
興味の無い事についても徹底的に考え抜く事が求められる。
また、営業が浅く広く学ぶのに比べ、技術は狭く深くを求められるケースが多く、
ともすれば「その分野の○○しかわかりません」となるため、別分野への異動や転職も難しい
興味が無くとも、いざやってみたら楽しい、と思えるタイプの人は問題無いが、
少なくとも当時の自分はそういうタイプではなかった。
そんなモチベーションで、好きで研究をしている人に勝てる気がしなかった。

③技術の解明より、技術の応用やアプリケーションに興味があった
日々研究を行っている中で、魅力的な研究を目にする機会は多かった。
しかし、魅力的=世に受け入れられるということは限らない
その技術を必要としている人に対して、タイムリーに情報発信できないとその技術は広まらない。
そう気づいた時、その技術を広め、「実生活でこのように役立てられますよ」ということを伝えていける仕事がしたいと感じたのだ。

④自身の強みが営業職の方が生かせると思った
これは就活のテクニックにも繋がっていくが、自分は口が達者でフットワークが軽い方だった。
反面、部屋にこもって何かに没頭することが苦手であったため、研究よりも営業の方が向いているのでは、とざっくり感じていた。
 
 
これら4つが、就活で言うところの「軸」となっていた。
ここから商社への志望動機に繋がっていくのだが、それはまたいずれ…

就活生に感じた「もったいない」

このブログは、日本で就職活動するにあたり、様々な悩みを抱える人の
助けや参考としてもらえることを目指して開設した。

なぜこのようなブログを開設したか、そして簡単な経歴を書いておきたい。

自分は某大学院を卒業後、とある商社にて営業職に就いている。
中堅とまではいかないまでも、若手とも呼ばれなくなってきた年次だ。

そんな自分は、社会人になってから、人事部の要請により100人以上の就活生を見てきた。
そして就活生と接させてもらって一番思うことは、「もったいない」である。

この「もったいない」は、自分の時間が惜しい等の意味では全くなくて、
「この子はこうしたらもっと良くなるのに」
「他の業界であればもっと強みが生かせるのに」
「企業研究はそこに時間を費やすべきじゃないのにな」
という類のものだ。

しかし、説明会や面談の場で個別に各々の学生さんに
それを伝えるタイミングなんてあるはずもなく、
学生さんからしても、知らない社会人にいきなり説教されても
「なんなんだよこいつ…」と思われるのが関の山だ。

そこで、自分の経歴に少しでも興味を持ってくれる人に対して、
少しでも情報発信をして助けになりたいと思い今回のブログ開設に行き着いた。

自分は二回就職活動をしている。
大学3回生の時と修士1年の時で二回だ。
また、理系向けのインターンシップ等も経て、現在の仕事に辿り着いている。

何を思いこの道を選んだのか、就活でのテクニック、商社営業の実態等を、
身バレしない程度に赤裸々にお伝えし、結果的に皆さんの就活、
ひいては人生において役に立ってくれればこれほど嬉しいことはない。